9月下旬、本土ではそれなりに秋の風が吹き始める季節。南方の孤島「神来島」は、まだまだ夏の盛りのまっただ中。

そんなある日、ウン十年ぶりにやって来るという島の診療所の医師の話で、島民は大いに盛り上がっていた。

島の診療所の主、向井医師はかなりの高齢。腕は確かだが島民としてはそろそろ氏の後継者を切望していたのです。

そしてやって来た新しい医師「篠原修太郎」だが……なんとグータラで軟派な、自称「ただのオチこぼれ」という男なのでした。


早速始まった向井医師の厳しい指導に、修太郎は翻弄され、早速逃げ出すことまで考えてしまいますが……

しかし、居候先の向井医師の娘で未亡人の「裕美子」は、美人でお淑やかで優しくて……正に修太郎の理想の女性! 

娘の「真名」も修太郎に懐き、島の漁師の「政利」と郵便局員の「隼人」とも仲良くなって、厳しい診療所の仕事にもやっと潤いが訪れます。

しかし、そんな修太郎を焚きつけたのは、島の診療所の看護婦「清瀬理恵」で、生真面目な彼女とは顔を合わせればすぐに喧嘩状態。

自分で落ちこぼれ宣言をしたものの、やはり面と向かって無能呼ばわりする理恵には悔しい思いをさせられっぱなしなのでした。


そんなある日、向井医師の厳しい指導の中、どうにか格好の付いてきた修太郎に試練が訪れます。

向井医師は島の診療所の診察を修太郎に任せ、自分は一月ほど海外研修に出かけると言いだしたのです。

尋常ではない慌てぶりの理恵をヨソに、島民全員の詳しい処方を残して向井医師は旅立ってしまいます……

もちろん島民も「大丈夫なのか?」と心配顔。しかし見栄っ張りな主人公は「大丈夫だ!」と言い切ってしまいます。


それから始まる慌ただしい毎日。のどかなだけでなにもないこの神来島での暖かい生活。
そんな中、修太郎は一人の女性に想いを寄せてゆきます。
島唯一の医師としての責任に追われながらも……不器用だけど、ただ一生懸命に。



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