ティオ:「ん? なんだ?」
今、なんか聞こえたような……空耳か?
???(ライカ):「だめ〜〜っ、止まんない止まんない止まんない〜〜〜っ!」
確かに聞こえた。
それも、ひじょーに聞き覚えのある声である。
こうやって、情けない悲鳴と共に空から落っこちてくるのは――
???(ライカ):「にゃ〜〜〜っ!」
見上げると、空中を疾走する黒い物体……じゃなくて、ロッドにまたがった女の子。
ティオ:「いっ!? こ、こっちに突っ込んでくる!?」
???(ライカ):「よ〜〜〜け〜〜〜て〜〜〜っ!」
ティオ「うおあああああああっ!?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

???(ライカ):「うう……あいたた……」
???(ライカ):「もうっ、なんで止まんないのよ、このバカロッド!」

ティオ:「……止まらないのは、ロッドのせいじゃないと思うぞ」
いちちち、頭打った……コブになるぞ、こりゃ。
???(ライカ):「あ……」
ようやく、激突犯が俺の顔に気がついた。
驚きから困惑へ、困惑から喜びへ、喜びから――よく分からない複雑な表情へ。
ティオ:「よ。ただいま、ライカ」
ポツリと呟き、なんとか受け止めきった自分を褒めてやる。
それにしても──幼馴染との半年ぶり再会だった。
たったの半年間だと思わるかもしれないが、さにあらず。
ライカとは……生まれた時から、ほとんど毎日顔を合わせていたんだ。
こうして久しぶりに目の前にしてみると、お互い少なからず意識しないわけには……

ライカ:「はぁ!? な、なんでこんなとこにいるのよっ!」
意識しないわけには……
ライカ:「アンタを避けようとしたせいで、おデコぶつけちゃったじゃない!」
意識……
ライカ:「ティオのせいで、落っこちちゃったじゃない!」
ティオ:「いやいやいや、俺のせいじゃないだろ!?」
ライカ:「服汚れた! お尻痛い! 草が口の中に入って苦い! お腹空いた!」
ティオ:「たたみかけるように文句の連続!?」
しかも最後のは間違いなく俺のせいじゃないし!?
ライカ:「あー、もうっ!」
ライカ:「なんでこんなとこにいるのよ!」
ティオ:「なんでって……いや、帰ってきたんだけど」
ライカ:「じゃなくて、迎えに行くことになってたでしょ! なんで勝手に帰ってきちゃうのっ」
相変わらず、無茶苦茶だな……

       

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