リスみたいにもぐもぐと頬張って、リミアはクッキーを食べ続ける。
お菓子だけでこんなに喜んでくれるなんて、やっぱりまだ子どもなんだな。
俺はリミアの頭を、そっと撫でてやった。

リミア:「えへへー♥」

おお、可愛いかも。

なでなで
なでなで

リミア:「えへへー♥ ……はっ!?」
リミア:「む……ひ、人が物を食べている時に、頭を撫でるな」
リミア:「ワタシは犬や猫ではない」
ティオ:「はは、ごめん」

犬や猫ではないことは、もちろん分かってる。
でも、なんだかつい触りたくなったんだよな。
俺は軽く笑って、リミアの頭をなで続ける。

リミア:「むぅ、ワタシの言葉が聞こえなかったのか」
ティオ:「いや、ちゃんと聞こえた」
リミア:「ならなぜ触り続けてるのだ」
ティオ:「それは……」

リミアが嬉しそうな表情をしてるから。
……なんて言ったら、やっぱり怒られるよな?
でも彼女の頬は、たしかに緩んでいた。

ティオ:「良いだろ、少しくらい触ってても。な?」
リミア:「もぐもぐ……仕方ない、特別に許可してやろう」
ティオ:「ありがとな」

リミアがクッキーを食べている間、俺は彼女の頭をなで続ける。
そうしていると、クッキーとは違う匂いがしてきた。
甘いシャンプーの香りだ。

ティオ:「リミアはいい匂いがするな」
リミア:「当たり前だろう。ワタシはキサマのような貧乏男とは違うのだ」
リミア:「身なりや肌につけるものには、それなりに気を使っている」
ティオ:「へ〜。例えばどんなの使ってるんだ?」
リミア:「フンっ、キサマが耳にしたことのないブランド物ばかりだ」

ああ、なるほどね。
思わず苦笑していると、リミアはなぜかモジモジし始めた。
ぽっと頬を染めて、俺を見つめている。

リミア:「その……ワタシが甘くないクッキー食べたいって言ったこと」
リミア:「キサマはちゃんと覚えててくれたんだな」
ティオ:「当たり前だろ」
ティオ:「リミアは大切な仲間でもあり、うちのエースでもあるんだから」
ティオ:「俺ができることはなんでもして、大事にしとかないとな」
リミア:「ティオ……」

うっとりした表情で、リミアが見上げてくる。
俺は甘いシャンプーの香りに誘われ、顔を近づけて囁く。

ティオ:「いざという時は、リミアを頼りにしてるからな?

 

       

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